先日、定年で退職することになったと山さんが、あいさつに来られた。
山さんは ある百貨店の美術部に勤務している。
山さんと呼ばせていただいてるが、年上である。
山さんは、とてもユニークで おおよそ店員には向いていない。というのは、自分の気にいったものしか すすめない。 また いくら巨匠と言われる作家の作品でも出来が悪いとすすめない。 これは よろしくないと言って さっさとかだづけてしまう。 だから、逆に私などは信用している。
そんな山さんに 色々な事を おそわった。
日本画について。筆づかいや技法について。日本画の持つ季節感。そして、わび さび。作家の特徴。等々 たくさんあるが、中でも 一番、おぼえているのは 『本画はその人が購入すれば、その人のものである。その人がどうしようと自由である。食おうが、焼こうが(そんな人はいないでしょうが)。でも そうではない。どんな小品であっても世界にたった一枚しかない。これを 持ち主は守る義務がある。大切に後世に残し 伝える義務が買った時点から発生する。 』と言うのである。 そして 『あとは、どんな時でも、どんなかっこうでも、寝っころがってでも、それこそ 飲み食いしながらでも、音楽を聞きながらでも自由に ご自分の絵を楽しんで下さい』と言って 笑っていた。
どうか これからも お元気で。第二の人生を今度は山さんが楽しんで下さい。
私の妻の作品です。すべて手作り。(雛壇も)
人形や桃橘の花は粘土で作り 色をぬっています。